News(コラム/チーム支援)

チーム支援 2026.01.29

第3部 変革は「最小単位」から動かす ── 人が、人として話せるサイズに戻す

第1部では、
DXの「X」が人材ではなく関係性で止まっていることを整理しました。

第2部では、
善意の支援が、結果的にX人材を孤立させてしまう構造を見てきました。

では、
どこから、どう扱えばいいのか。

ここで多くの組織が考えるのは、
「全社でやらないと意味がないのでは」
「部門全体を巻き込まないと変わらないのでは」
という発想です。

けれど、変革は
いきなり大きな単位では動きません。

1.「最小単位」とは、人数ではなく関係性の話

ここでいう最小単位とは、
3人か5人か、という単純な人数の話ではありません。

人が、人として話せる関係性の単位です。

目安としては、

  • X人材(1名)
  • チームや意思決定に影響を持つ人(数名)

合計しても、
7名を上限とするのが現実的です。

これは戦略上の制限というより、
人が関係性を引き受けられる限界に近いものです。

それ以上になると、人は無意識に
「今日は聞くだけでいい」
「誰かがまとめてくれるだろう」
という立場に下がり始めます。

7名までであれば、
まだ一人ひとりに
「自分もこの場をつくっている」
という感覚が残ります。

2.誰を選ぶか──戦略ではなく、人で考える

最小単位を「人」で考えると、
次のような顔ぶれが浮かびます。

①X人材本人

── もう十分、考えてきた人

  • 状況を俯瞰している
  • 変えたい前提が見えている
  • ただし、少し疲れている

この人は、
「もっと頑張る人」ではありません。

すでに頑張りすぎている人です。

最小単位の場は、
この人を前に押し出すための場ではなく、
一人で背負わなくていい状態に戻す場です。

②話を聞くと「あ、進みそう」と感じる人

── 判断の空気を変えられる人

  • その人が「なるほど」と言うと、場が緩む
  • 他の人が話し始める
  • 合意の入口が自然に生まれる

決裁者である必要はありません。

合意が生まれる“きっかけ”をつくれる人です。

③反対しそうだけれど、逃げない人

── 本音を出してくれる人

DXや変革の場で、
一番やっかいなのは、黙った抵抗です。

だからあえて、

  • 疑問を口にする
  • 納得しないまま進めない
  • でも場から降りない

そんな人を含めます。

この人がいることで、
X人材が一人で悪者にならずに済みます。

④話を「持ち帰れる」人

── 次の関係性につなぐ人

  • 自分の言葉で説明できる
  • 「あの場で、こういう話があって」と語れる
  • 次の対話を開ける

この人が一人いるだけで、
変革は静かに広がり始めます。

3.チームコーチングの視点が「その場にある」こと

もう一つ、大切な条件があります。

最小単位の中に、
チームコーチングの視点を学んだ人が含まれていること。

X人材が1名であっても構いません。
重要なのは、
「私たちの関係性」を見る視点が、その場に存在しているかどうかです。

よくあるのは、

  • 1人が学ぶ
  • 現場に戻る
  • 日常の力学に飲み込まれてしまう

というケースです。

これは意欲や理解の問題ではありません。
関係性の中に、その視点が定着していないことで起きます。

最小単位の中にその視点があると、

  • 「それ、誰の課題?」
  • 「個人で背負う話?」
  • 「私たちとして、どう扱う?」

こうした問いが、自然に場に残ります。

スキルが個人に回収されず、
関係性の中で呼吸し続ける状態が生まれます。

4.良いメンバーを探さなくていい

ここで誤解しやすいのは、
「理想的なチームをつくらなければならない」という発想です。

  • 仲が良くなくていい
  • 同じ方向を向いていなくていい
  • 温度差があっていい

むしろ、
違いが見える関係性のほうが、
変革は動きます。

5.最小単位の本当の意味

最小単位とは、
小さく始めるための工夫ではありません。

人を役割や期待から一度ほどき、
人として話せるサイズに戻すこと。

X人材を
「推進役」や「調整役」から解放し、
再びチームの一員として場に戻す。

そこから、
DXの「X」は静かに動き始めます。


次の第4部では、
この最小単位を
どう現実の場に落とすのかを扱います。

90分×3回という、
壊さずに進める実装の話です。

「これなら始められる」
そう思える入口を、具体的に見ていきます。

 

Contact

各種ご相談・お問合せについては
[お問合せ]ページからお気軽にお寄せ下さい。

お問い合わせ