
第1部では、
DXの「X」が人材ではなく関係性で止まっていることを整理しました。
第2部では、
善意の支援が、結果的にX人材を孤立させてしまう構造を見てきました。
では、
どこから、どう扱えばいいのか。
ここで多くの組織が考えるのは、
「全社でやらないと意味がないのでは」
「部門全体を巻き込まないと変わらないのでは」
という発想です。
けれど、変革は
いきなり大きな単位では動きません。
ここでいう最小単位とは、
3人か5人か、という単純な人数の話ではありません。
人が、人として話せる関係性の単位です。
目安としては、
合計しても、
7名を上限とするのが現実的です。
これは戦略上の制限というより、
人が関係性を引き受けられる限界に近いものです。
それ以上になると、人は無意識に
「今日は聞くだけでいい」
「誰かがまとめてくれるだろう」
という立場に下がり始めます。
7名までであれば、
まだ一人ひとりに
「自分もこの場をつくっている」
という感覚が残ります。
最小単位を「人」で考えると、
次のような顔ぶれが浮かびます。
── もう十分、考えてきた人
この人は、
「もっと頑張る人」ではありません。
すでに頑張りすぎている人です。
最小単位の場は、
この人を前に押し出すための場ではなく、
一人で背負わなくていい状態に戻す場です。
── 判断の空気を変えられる人
決裁者である必要はありません。
合意が生まれる“きっかけ”をつくれる人です。
── 本音を出してくれる人
DXや変革の場で、
一番やっかいなのは、黙った抵抗です。
だからあえて、
そんな人を含めます。
この人がいることで、
X人材が一人で悪者にならずに済みます。
── 次の関係性につなぐ人
この人が一人いるだけで、
変革は静かに広がり始めます。
もう一つ、大切な条件があります。
最小単位の中に、
チームコーチングの視点を学んだ人が含まれていること。
X人材が1名であっても構いません。
重要なのは、
「私たちの関係性」を見る視点が、その場に存在しているかどうかです。
よくあるのは、
というケースです。
これは意欲や理解の問題ではありません。
関係性の中に、その視点が定着していないことで起きます。
最小単位の中にその視点があると、
こうした問いが、自然に場に残ります。
スキルが個人に回収されず、
関係性の中で呼吸し続ける状態が生まれます。
ここで誤解しやすいのは、
「理想的なチームをつくらなければならない」という発想です。
むしろ、
違いが見える関係性のほうが、
変革は動きます。
最小単位とは、
小さく始めるための工夫ではありません。
人を役割や期待から一度ほどき、
人として話せるサイズに戻すこと。
X人材を
「推進役」や「調整役」から解放し、
再びチームの一員として場に戻す。
そこから、
DXの「X」は静かに動き始めます。
次の第4部では、
この最小単位を
どう現実の場に落とすのかを扱います。
90分×3回という、
壊さずに進める実装の話です。
「これなら始められる」
そう思える入口を、具体的に見ていきます。