
DXが進まないとき、
多くの組織は「支援」を考え始めます。
研修を増やす。
メンターをつける。
期待を言葉にして伝える。
どれも善意です。
間違ってはいません。
けれど、X人材を取り巻く現場を見ていると、
その善意が、結果的に変革を止めてしまう
場面に、繰り返し出会います。
(※チームコーチングの視点がない場合)
X人材に対して、
個人コーチングが選ばれることは少なくありません。
視座が上がる。
思考が整理される。
感情が整う。
こうした効果は確かにあります。
個人コーチングそのものを否定するものではありません。
ただし、ここで重要なのは
その個人コーチングに「私たち視点」が含まれているかどうかです。
チームコーチングの視点を持たない個人コーチングは、
どうしても焦点が
「本人の内側」
「本人のスキル」
「本人の頑張り」
に集まりがちになります。
すると、X人材は、
と、個人としての努力を重ねる方向に進みやすくなります。
しかし、DXのXが止まっている理由が
関係性や合意形成にある場合、
個人の成長だけでは、現実は動きません。
むしろ、
という状態が生まれることさえあります。
個人コーチングが悪いのではありません。
「私たちの関係性」を扱わないまま、
個人の変化だけを促してしまうことが、
結果としてX人材の孤立を深めてしまうのです。
もう一つ、よく見かけるのが
X人材への強い期待です。
言われる側は、悪い気はしません。
責任感も強い。
けれど、期待と同時に
権限・判断の範囲・支援の設計が
渡されていないとしたら。
X人材は、
「一人で何とかする」しかなくなります。
期待は、支援ではありません。
構造が変わらないまま期待だけをかけると、
孤立が深まります。
DX文脈では、
新しいスキルやフレームワークが次々と登場します。
学ぶこと自体は悪くありません。
ただ、X人材はすでに
多くのことを「知っている」状態であることが多い。
足りないのは、スキルそのものではなく、
といった、使われ方の合意です。
ここを扱わないままスキルを足すと、
現場では使われず、学習が空回りします。
X人材が自然と引き受けてしまう役割があります。
一時的には回ります。
ただし、この状態が続くと、
結果として、
変革が属人化し、広がらなくなります。
ここまで挙げた支援は、
どれも「悪い支援」ではありません。
むしろ、
よかれと思って選ばれやすいものばかりです。
だからこそ、
うまくいかなくなったときに、
原因が見えにくい。
X人材本人が
「自分の力が足りないのではないか」
と引き受けてしまうこともあります。
けれど、X人材支援がうまくいかないとき、
問題は「足りない」ことではありません。
この状態で支援を重ねるほど、
X人材は前に出続け、
チームは動かなくなります。
次の第3部では、
では どこから、どの単位で関係性を扱えばよいのか
について整理します。
いきなり全体を変えなくていい。
最小単位から始めるという考え方です。
変革を止めずに動かすための、
具体的な入口を見ていきます。