
私はコーチになる前、金融系SEとしてシステム開発の現場にいました。
プロジェクト管理、要件定義、ベンダーとの折衝——
その経験があるから、この記事を書きます。
システム開発プロジェクトにおける「ベンダーコントロール」は、
難題のひとつです。
契約と納期の管理だけでは、うまくいかないケースが頻繁に起きます。
なぜか。
ベンダーも人間の集まりだからです。
モチベーションが下がる。
コミュニケーションがすれ違う。
何が問題かを言い出せない雰囲気がある。
これらは、管理で解決できません。
「関係性」と「対話」で解決します。
それがチームコーチングをベンダーコントロールに活用する理由です。
【なぜ管理だけでは限界があるのか】
ベンダーは「外部」であっても、プロジェクトの成否を握る「チーム」です。
発注側が管理・監視・督促するだけの関係では、
ベンダー側は「言われたことをやる」モードに入ります。
このモードの問題は、「問題が見えていても言わない」状態が生まれることです。
遅延の兆候も、品質のリスクも、現場は早く気づいています。
しかしそれを報告する心理的安全性がなければ、表に出てこない。
問題が表面化するのは、取り返しのつきにくい段階になってから——
この構造は、多くのプロジェクト失敗に共通しています。
【事例1:停滞プロジェクトを問いで動かした】
アプリケーション開発のプロジェクト。
外部ベンダーが担当するバックエンド開発が遅延し、
全体の進行が危ぶまれていました。
コーチがベンダーチームに投げかけた問いは、シンプルなものでした。
「遅延の主な原因は、どこにあると感じていますか?」
「必要なリソースやサポートは何ですか?」
「改善のために、私たちはどう協力できますか?」
指摘ではなく、問い。
責任追及ではなく、対話。
この姿勢が、ベンダー側の「実は困っていること」を引き出しました。
原因が明確になり、必要なリソースが特定され、
プロジェクトは軌道に戻りました。
問いかけのポイントは「あなたは何をすべきか」ではなく
「私たちはどう動くか」という共同の視点です。
【事例2:コミュニケーション不足を「共通のゴール」で解消した】
内部チームと外部ベンダーの間で、コミュニケーション不足が慢性化。
要件の誤解が品質に悪影響を与えていました。
よくある対処は「報告頻度を上げる」「ドキュメントを整備する」です。
しかしこのプロジェクトで機能したのは、もっと根本的なアプローチでした。
「私たちが共有すべき目標は何か」
「お互いのためにできることをもっと増やすとしたら、何か」
この問いを通じて、双方が「同じプロジェクトの仲間である」という
感覚を取り戻しました。
その後、定期的なミーティングの設計が変わりました。
進捗確認ではなく、「今週何が難しかったか」を話す場に。
これだけで、情報共有の質が大きく変わりました。
【事例3:モチベーション低下を「誇り」から立て直した】
テストシステムの品質が低迷し、ベンダーチーム全体の士気が落ちていた。
督促しても改善しない状態です。
コーチが選んだアプローチは、問題の追及ではなく「強みへの着目」でした。
「これまで最も誇りに思う成功例は何ですか?」
「今回のプロジェクトで実現したい成果は、具体的にどんなものですか?」
過去の誇りを言語化することで、
「自分たちはできる」という自己効力感が戻ります。
その状態で「ではどうするか」を話すと、行動が変わります。
テストの品質は改善され、プロジェクトは成功へ向かいました。
【チームコーチングをベンダーコントロールに導入する4つのポイント】
目標の共有から始める
「発注側の目標」ではなく、「このプロジェクトで共に目指すゴール」を
双方で言語化することが出発点です。
心理的安全性を意図的に作る
「問題を言っても責められない」という環境は、自然には生まれません。
発注側のリーダーが「私たちも課題を持っている」と開示することが、
最も効果的な安全性の作り方です。
継続的なフィードバックの場を設ける
成果物への批判ではなく、「どうすればもっとよくなるか」という
建設的な対話を定期的に行います。
成長を支援する視点を持つ
ベンダーチームのスキルアップや学びを支援する姿勢は、
長期的なパートナーシップの土台になります。
【IT現場のプロジェクトマネジャーへ】
「ベンダーコントロール」という言葉には、
どこか「管理する側」と「される側」という非対称が含まれています。
しかし実際にプロジェクトを成功させるのは、
その非対称を超えた「チームとしての連帯」です。
コーチング的な問いと関係性への投資が、
プロジェクトの成否を変える。
これはSEとして現場を経験してきた私の実感です。
【こんな課題をお持ちの方へ】
・ベンダーとの関係が管理・監視になってしまっている
・ベンダー側から本音や問題が上がってこない
・プロジェクトチーム全体の士気・一体感を高めたい
・チームコーチングをプロジェクト管理に取り入れたい
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