
ビジネスコーチ&FPの矢頭聖子(合同会社コーチ・コンパス)です。
大阪を拠点に、関西・全国のクライアントとオンラインでお仕事しています。
「実は、コーチングって苦手なんです。昔、上司にやらされて。」
初回相談でこう打ち明けてくださる方が、一定数います。
話を聞いてもらえなかった。説教された。
結局、上司の意見に誘導された。
その経験は、本物です。否定しません。
しかし、その「コーチング」は、コーチングではありませんでした。
2000年代から2010年代にかけて、コーチングスキルの社内研修が広がりました。
短期間の研修を受けた上司が、部下に「コーチング」を実施する。
当時、多くの企業で行われたアプローチです。
しかし現場では、こんなことが起きていました。
質問しているようで、答えを誘導している。
「どう思う?」と聞きながら、自分の意見を通そうとしている。
部下が話しても、途中で遮って説教が始まる。
「コーチング面談」という名目の、業務指示の場になっている。
これはコーチングではありません。
コーチングのフォーマットを借りた、別の何かです。
上司に悪意があったわけでもありません。 短期間の研修で学んだスキルを、
善意で使おうとした結果です。
しかし、部下の側に残ったのは「コーチングアレルギー」でした。
プロのコーチとの違いは、3つあります。
プロのコーチは、クライアントに「こうすべき」という答えを持ち込みません。
クライアントの中にある答えを引き出すことが、唯一の仕事です。
上司がコーチ役をするとき、どうしても「部下にこう動いてほしい」という意図が入ります。
評価権限を持つ上司と、コーチングの関係性は、構造上相性が悪い。
それがアレルギーの根本原因です。
プロのコーチは、クライアントを評価しません。
良い・悪い、正しい・間違いという判断を、セッションに持ち込まない。
上司は評価者です。 その関係性の中では、部下は本音を言えません。
「こんなことを言ったら、査定に響くかも」という不安が、対話を浅くします。
プロのコーチは、長期間の訓練と実践を積んでいます。
ICF(国際コーチング連盟)のPCC資格を例にとると、 500時間以上のコーチング実績、
メンターコーチングの受講、厳格な審査が必要です。
短期研修で学んだスキルと、数百時間の実践を積んだプロのコーチでは、
できることが根本的に違います。
コーチングアレルギーを持ったまま相談に来た方が、初回セッション後に
『全然違う』とおっしゃったことがあります。
過去に嫌な思いをした方ほど、プロのコーチとのセッションで驚かれます。
話を最後まで聴いてもらえる。 誘導されない。
自分で答えを出せた、という感覚がある。
それが、本来のコーチングです。
過去の経験は、コーチングそのものへの判断材料にはなりません。
それは「コーチングスキルを持った上司との面談」であって、
プロのコーチとのセッションとは、別物です。
一点だけ、フォローしておきます。
上司がコーチングスキルを学ぶこと自体は、意味があります。
傾聴する姿勢、質問する関わり方、承認、
これらは、マネジメントの質を上げます。
ただし、それは「コーチングスキルを使ったマネジメント」であって、
「コーチング」ではありません。
この区別が曖昧なまま広がったことが、アレルギーを生んだ原因です。
上司コーチングで嫌な思いをした方へ、お伝えしたいことを整理しました。
あなたが経験したのは、コーチングではありませんでした。
評価権限を持つ上司とのコーチングは、構造上うまくいきにくい。
プロのコーチは、答えを持ち込まず、評価せず、長期間の訓練を積んでいます。
過去の経験は、コーチングそのものへの判断材料にはなりません。
コーチングアレルギーをお持ちの方こそ、一度プロのコーチと話してみてください。
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