News(コラム/チーム支援)

チーム支援 2026.07.27

「上司にコーチングをされて嫌な思いをした」—プロのコーチは何が違うのか

ビジネスコーチ&FPの矢頭聖子(合同会社コーチ・コンパス)です。
大阪を拠点に、関西・全国のクライアントとオンラインでお仕事しています。

「実は、コーチングって苦手なんです。昔、上司にやらされて。」

初回相談でこう打ち明けてくださる方が、一定数います。
話を聞いてもらえなかった。説教された。
結局、上司の意見に誘導された。

その経験は、本物です。否定しません。
しかし、その「コーチング」は、コーチングではありませんでした。

何が起きていたのか

2000年代から2010年代にかけて、コーチングスキルの社内研修が広がりました。
短期間の研修を受けた上司が、部下に「コーチング」を実施する。
当時、多くの企業で行われたアプローチです。

しかし現場では、こんなことが起きていました。

質問しているようで、答えを誘導している。
「どう思う?」と聞きながら、自分の意見を通そうとしている。
部下が話しても、途中で遮って説教が始まる。
「コーチング面談」という名目の、業務指示の場になっている。

これはコーチングではありません。
コーチングのフォーマットを借りた、別の何かです。

上司に悪意があったわけでもありません。 短期間の研修で学んだスキルを、
善意で使おうとした結果です。

しかし、部下の側に残ったのは「コーチングアレルギー」でした。

プロのコーチと何が違うのか

プロのコーチとの違いは、3つあります。

1.答えを持ち込まない

プロのコーチは、クライアントに「こうすべき」という答えを持ち込みません。
クライアントの中にある答えを引き出すことが、唯一の仕事です。

上司がコーチ役をするとき、どうしても「部下にこう動いてほしい」という意図が入ります。
評価権限を持つ上司と、コーチングの関係性は、構造上相性が悪い。
それがアレルギーの根本原因です。

2.評価しない

プロのコーチは、クライアントを評価しません。
良い・悪い、正しい・間違いという判断を、セッションに持ち込まない。

上司は評価者です。 その関係性の中では、部下は本音を言えません。
「こんなことを言ったら、査定に響くかも」という不安が、対話を浅くします。

3.訓練を受けている

プロのコーチは、長期間の訓練と実践を積んでいます。

ICF(国際コーチング連盟)のPCC資格を例にとると、 500時間以上のコーチング実績、
メンターコーチングの受講、厳格な審査が必要です。

短期研修で学んだスキルと、数百時間の実践を積んだプロのコーチでは、
できることが根本的に違います。

コーチングアレルギーを持ったまま相談に来た方が、初回セッション後に
『全然違う』とおっしゃったことがあります。

「コーチングアレルギー」の方へ

過去に嫌な思いをした方ほど、プロのコーチとのセッションで驚かれます。
話を最後まで聴いてもらえる。 誘導されない。
自分で答えを出せた、という感覚がある。

それが、本来のコーチングです。

過去の経験は、コーチングそのものへの判断材料にはなりません。
それは「コーチングスキルを持った上司との面談」であって、
プロのコーチとのセッションとは、別物です。

上司コーチングは、悪なのか

一点だけ、フォローしておきます。

上司がコーチングスキルを学ぶこと自体は、意味があります。
傾聴する姿勢、質問する関わり方、承認、
これらは、マネジメントの質を上げます。

ただし、それは「コーチングスキルを使ったマネジメント」であって、
「コーチング」ではありません。

この区別が曖昧なまま広がったことが、アレルギーを生んだ原因です。

まとめ

上司コーチングで嫌な思いをした方へ、お伝えしたいことを整理しました。

あなたが経験したのは、コーチングではありませんでした。
評価権限を持つ上司とのコーチングは、構造上うまくいきにくい。
プロのコーチは、答えを持ち込まず、評価せず、長期間の訓練を積んでいます。
過去の経験は、コーチングそのものへの判断材料にはなりません。

コーチングアレルギーをお持ちの方こそ、一度プロのコーチと話してみてください。


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